虫歯や歯並びに悪影響!?よく噛んで食べる子に育てるコツ

よく噛むことの大切さ

皆さんは食事をする時、よく噛んで食べていますか?

私も母や父に昔から、よく噛んで食べなさいと言われてきました。

健康な歯で食べ物をしっかり噛むことは、全身の健康維持に大きな効果があります。

「よく噛んで食べる」健康効果を見直してみましょう。

食べすぎ防止になる

子ども よく噛む
噛むこと=咀嚼は、食べ物を細かくし、消化しやすい形に変える役割があります。

良く噛まずに大きなまま食べ物を飲み込むと、胃に負担がかかり消化不良になるため、なかなか消化されずにお腹の中に溜まることで太りやすい体になります。

よく噛み、時間をかけて食事をすると、血糖値が高まり満腹中枢が刺激され、適量でお腹いっぱいになります。

早食いの方は満腹中枢が刺激される前に食べ過ぎてしまうので肥満になりやすいというわけです。

また、よく噛むだけではなく、時間をかけて食べることが重要です。

「よし!しっかり30回噛んで食べよう。」と意気込んでも早食いしていたら、消化不良につながるので意味がありません。

人間は食べ物を食べてから20分くらい経たないと、脳が「お腹一杯」の指令を出さないと言われています。

簡単に言えば、胃に入れる時間と脳がお腹一杯になると感じる時間にタイムラグがあるため、早食いをしていると、つい摂取カロリーがオーバーしてしまいます。

その為、食べ過ぎを防止するには、良く噛む事とゆっくり時間をかけて食べることが望ましいです。

唾液がたくさん出ることで虫歯予防にも

子ども よく噛む
食べ物を良く噛めば噛むほど唾液が出てきます。

唾液には、歯や歯間に付着した食べかすやプラーク(歯垢)を洗い流す自浄作用や、抗菌作用をもつ成分が口の中の細菌の増殖を抑えるなど、さまざまな効果があります。

また、「唾液」は酸性に傾いた口の中を中和して、できかかった虫歯を再石灰化してエナメル質を修復する働きがあります。

よく噛む事で唾液をたくさん出し、虫歯になりにくい口腔内をつくりましょう。

噛まないで食べる習慣による影響

近年では食生活の変化から、食べ物をよく噛まずに飲みこんでしまう子どもが増えていますが、よく噛まないで食事をすることでさまざまな悪影響をもたらします。

また、咀嚼回数が減ったことにより、現代人のあごは昔の人に比べ、小さくほっそりしています。

ここからは噛まないことによる影響をご紹介します。

消化器官に負担がかかる

子ども よく噛む
噛むことで消化酵素のアミラーゼを含む唾液の分泌を促し、胃腸での食べ物の消化吸収を促進する作用があります。

反対に、噛まないと消化器官に余分な負担がかかり、消化不良を起こすこともあります。

また、良く噛まない事で大きい食べ物が噛み砕けず丸飲みになってしまうことからも、消化不良を起こす原因になる事がわかります。

この時、消化に良く柔らかいものばかりあげてしまうと、それに慣れてしまって噛む力が失われてしまう場合があります。

また、硬い食べ物を嫌がり柔らかい食べ物を好む傾向になりますので、なるべく硬いものを小さくしてあげ、よく噛むように促しましょう。

咬み合わせが不安定になる

子ども よく噛む
お子様のお口の悩みとして、「噛み合わせが不安です。」という声をパパ、ママから多く耳にします。

よく噛まずに食事をすると、顎の発育に影響が出ます。

顎の発育が十分でないと後から生えて来る永久歯が入る十分なスペースがなくなり、歯並びがガタガタ(叢生)になることもあるのです。

叢生とは正しい方向に生えずにねじれを伴っていたり、歯と歯が重なり合っている状態になっている状態を言います。

噛むという動作は顎の発達を促してくれるのですね。

また、よく噛まないと唾液の量も少なくなりますので、虫歯になるリスクが高くなります。

唾液の分泌が低下すると、口腔内の清掃性も低下するので虫歯や歯周病などを発生させる原因になります。

普段からよく噛むことを心がけて口腔内も清潔に保ちましょう。

よく噛んで食べてもらうにはどうすればよいの?

子ども よく噛む
よく噛むことのメリットは分かったけど、それを子どもにすぐやって!と言っても、毎日習慣づけることは難しいですよね。

また、遊びたい気持ちの方が勝ってしまい、早く食ベて遊ぼうと思っている子が多いです。

小さいうちは食に対する興味もあまりないので、なおさら早く食べてしまおうという子が多いのです。

ここからは、そんな子どもたちにもよく噛んで食べてもらえるような工夫をご紹介します。

年齢に合った噛みごたえのある食べ物を取り入れる

子ども よく噛む
年齢によって食べれる物は違ってきます。

各年齢に応じた食材、硬さのものを取り入れましょう。

例えば、乳歯が生えそろったばかりの2〜3歳は、りんごやなしなど少し硬めの果物から始め、次第に噛みごたえのあるものを取り入れましょう。

噛むための準備が整った4〜5歳ごろは、よく噛むことを意識し始められる年齢です。

この年齢には、弾力があるものを取り入れるのが一番。セロリやゴボウなどの繊維が多いもの、するめやフランスパンなど硬いものでもトレーニングになるのでおすすめです。

5〜6歳になると噛む力がついている頃なので、少し硬めのガムやグミを噛ませるのがよいでしょう。

この際、飲み込んで喉をつまらせないよう、近くで見守るなどの注意が必要です。

食感が楽しめるのは歯根膜のセンサーのおかげ

子ども よく噛む
食感=歯ごたえという感覚は、歯の感覚と噛むための筋肉(咀嚼筋)から成り立っていると考えられています。

食べ物を食べた時の食感は、歯根膜というセンサーにより感じられます。

この組織のおかげで我々は噛む感覚というものを楽しめるわけです。

おせんべいのバリッという感触、てんぷらのサクッという感触、これらは全て歯根膜によるものです。

では、全部歯がなくなった総入れ歯の人の場合はどうなるのでしょうか。

歯を失うことはこの歯根膜をも失うことを意味します。

歯根膜を失うことで、今まで培われていた食感も感じなくなってしまいます。

食感を楽しみ、よく噛むためにも、適切なデンタルケアを行って健康的な口腔内環境を維持することが大切です。

「どんな音がするかな?」「いい音がするよ」と声かけをする

子ども よく噛む
小さい頃の子どもは食に興味がない子がほとんどです。

よく噛んでもらうためには、まずは食事に興味を持たせることから始めてみましょう。

できれば家族一緒に食事をし、噛みごたえのある食べ物を食卓に出して「この食べ物はどんな音がするかな?一緒に聞いてみよう」などと声かけをすることで、子どもの興味を引出します。

また、最初は噛みごたえのあるものでなくても構いません。

子どもと一緒にスーパーへ行き、「今日はどんなものが食べたい?」と子どもが食べたそうなものを選び、それを食事に出し、「これはどんな音がすると思う?」と話しながら食べ、音がしなかったら「次は音が出る食べ物を選んでみようか」と一つひとつステップを踏んでいきましょう。

まずは食に興味を持ってもらうことを意識してみてください。

食事中の姿勢に注意し、足がブラブラしないように座らせる

子ども よく噛む
皆さんのお子さんは正しい姿勢で食事ができていますか?

正しい姿勢で食事をする事で、消化・吸収がアップし、消化器官への負担が少なくなります。

背を丸めていたり傾いていたりすると、食べ物の流れが悪くなり、胃腸の消化吸収にも影響が出ます。

また、食事中に足を床につけず、ブラブラとさせていると、食べ物を噛む力が弱くなったり、噛む回数が少なくなってしまいます。

悪い姿勢で食事をしていると、あごの発達にも支障が出て歯並びが悪くなるなど、さまざまな方向に悪影響を及ぼしてしまうので注意が必要です。

ここで正しい食事の取りかたをご紹介します。

(1)テーブルに向かってまっすぐに座りましょう。
(2)胸とへその間にテーブルが来るようにし、イスに深く腰掛けます。
(3)テーブルとの間は、こぶし1つ分開け、足を床につけて食事をします。
※背筋が丸まった姿勢や、肘をついて食べたり、前屈みにならないよう注意してください。

姿勢に気をつけながら、楽しく食事をしましょう。

楽しみながら噛む力を育てよう

子どもにただよく噛んで食べて!と言っても毎日はできないかもしれません。

できれば長く毎日よく噛んで食べて欲しいですよね。

また、緊張していると唾液が出にくくなることもあるようなので楽しく食事をすることも大切です。

ここからは楽しみながら噛む力を育てる方法をご紹介します。

誰が一番多く噛めるか競争する

子ども よく噛む
家族揃って食事ができるときは、誰が一番多く噛めるか競争しながら食べるのがおすすめです。

ゲーム感覚で毎日行うと、楽しみながら噛む力を育てることができます。

兄弟もいれば尚更楽しめると思いますが、もちろん母と子ども二人でも「お母さんとどっちが噛めるか競争ね」という様に十分楽しめますね。

ここで気をつけてほしいのが、早食いにならない様にすることです。

たくさん噛んだからといって、早食いになってしまったら消化不良に繋がります。

ゆっくり噛みながら、多く噛める様に気をつけましょう。

理想の咀嚼回数は?

子ども よく噛む
ここまでよく噛む事が望ましいとお話をしてきました。

では理想の回数はどのくらいなのでしょうか?

基本的に消化しやすくするために必要な回数は「一口につきおおよそ30回」です。

しかし、これは食べ物によって異なります。

お寿司やうどんなど柔らかいものを食べるのに30回も噛んでいたら、味がなくなり美味しいと感じられなくなってしまいます。

反対にお煎餅やナッツ類を飲み込むのに30回は少ないかもしれません。

厳密にいうと「全ての食材に関して食べ物が液体になるまで噛む」のをおすすめします。

目安とされているのは30回ですが、消化しやすい状態を作る事が大切です。

ですので基本的には、食べ物が液体になるまで噛むと良いでしょう。

あまり神経質にならずに食事をしながら会話を楽しんだり、いつもより多く噛むことを意識するだけで良いのかもしれませんね。

『あいうべ体操』でトレーニング

子ども よく噛む
いつでもどこでも誰でもできる「あいうべ体操」とは、今井一彰先生が提唱する、口呼吸を鼻呼吸に改善していく簡単な口の体操です。

このトレーニングを行うことで、舌力がついて自然を口を閉じることができるようになるため、よく噛むための力を鍛える目的でも活用できます。

あいうべ体操のやり方は、次の4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。

(1)「あー」と口を大きく開く
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を強く前に突き出す
(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)から(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます。

気軽に行えるトレーニングですので、空き時間を見つけたらトライしてみましょう!

生涯、よく噛んで、おいしく食事を!

噛もうと思っても、習慣化させるのにはどうしても時間がかかります。

食材の選び方や切り方、また誰かと食べたり食環境を整えることで、自然と習慣化できるように進めるのも一つの手です。

心と体の健康を保つために、日々の食事で「よく噛む」ことを意識するようにしましょう。